式場カメラマンの仕組み
今回は、結婚式場が15万円で販売しているアルバムを日当1万円のカメラマンが撮影している現実。というお話です。
式場の見積もりを見ると「結婚式アルバム ¥120,000~150,000」など記載されている結婚式のアルバム写真の項目。
撮影しているカメラマンによって技術の差はあるものの、販売されている内容は、どのカメラマンが撮影しても新郎新婦が支払う料金は同じであること。
新郎新婦さんにとって感じ方は違うと思いますが、センスも技術も高いカメラマンに撮影してもらうのと、撮影経験の浅いアルバイトが撮影しても、料金は変わらない場合、あなたはどちらのカメラマンに撮影して欲しいですか?
今回はそんなブライダル業界の仕組みについてのお話です。
日当1万円のカメラマン
熊本にある式場の中で一番高額だったアルバム料金は50万ほどの価格がありました。
(これは実際に見た式場のアルバム料金の中で一番高額だった)
集合写真や前撮りなど、色んな内容が含まれていたと思いますが、実際に選ばれる方もいらっしゃるのでしょう。
とある式場(式場と提携している写真会社)では、日当1万円でアルバイトカメラマンを雇って、実際の新郎新婦さんの撮影を行い、アルバムを式場へ納品する。という仕組みがあります。(求人情報を見るとすぐわかります)
アルバムによっては原価が5万円以上する品物も実際にありますので、販売価格は式場によって当然違うと思いますし、利益をどれだけ乗せなければならないなどは企業の考え方によって違います。
アルバムの種類によって料金が変わるのは当然ですが、撮影している写真の内容(カメラマンが撮影する写真)は、どんなに高級なアルバムを選んだとしても、日当1万円のカメラマンが手配されることがあるということです。
この日当1万円で来るカメラマンはどんなカメラマンなのか。
写真会社の社員として経験豊富な敏腕カメラマンではなく、
元カメラマンとして働いていた経験者
カメラが好きでスキルを付けたい
写真の仕事をしたいと思って勉強したい方
というようなスキルを持ったアルバイトがあなたの結婚式を撮影しにきます。
経験を積んで写真の技術が上達していけば日当は上がっていきますが、雇われバイトの場合は高くても2万〜3万円程度です。
普通のアルバイトの時給からすると、1日で3万円になる仕事は魅力的かもしれませんね。
結婚式場と多く提携している某写真館で店長クラスになると、月収50万以上もらっている方もいます。
では、写真の技術が高いカメラマンと日当1万円のアルバイトカメラマンの違いはどこにあるのでしょう?
カメラマンによって変わる「写真の質」
それは当然、新郎新婦さんが購入する「写真」に違いがあります。
プロ仕様クラスの一眼レフカメラを使用すれば「キレイな写真」は撮影することができるのも事実です。
でも、ただシャッターを押せばいい。ということで務まるほど、ブライダルカメラマンの仕事は甘くありません。
チャペルはここで撮ればいい。
ここから撮るとキレイに撮れる。
これだったら誰でもできます。
だから、日当1万円でカメラマンを雇えば、それなりのキレイな写真ができあがるのです。
しかし、高いセンスと技術を持ったカメラマンの場合、「キレイな写真+その人しか撮れない写真」を残してくれると思います。
結婚式場のアルバム写真を見て「なんか写真自体がプロが撮ったように思えない」「写真に魅力を感じなかった」と不満に思っている新郎新婦さんの声を聞くことがあります。
今はインスタを始め、全国のフォトグラファーが撮影した素敵な写真・おしゃれな写真をたくさん見ることが多くなった時代だからこそ、式場のアルバム写真に違和感を抱いてしまった新郎新婦さんも多いようです。
まさに、撮影する人によって変わる「写真の質」の違いが表面化してきたと思います。
同じ値段ならどう思う?
インスタグラムで人気のフォトグラファーはたくさんいます。
個人で指名をして結婚式の撮影依頼をされる方も多くなったと思います。
この流れも、式場のアルバムに魅力を感じなくなった事が一つの原因だと思います。
式場へ依頼しても15万。人気のフォトグラファーに頼んでも15万。
だったら人気の自分好みの写真を撮影してくれるフォトグラファーへ頼みたくなるのは自然な流れだと思いませんか?
悪循環な仕組みに・・
日当1万で撮影しているバイト(フリーカメラマン)も、技術が高くなって、自身のインスタグラムなどで写真を見てもらえるようになると、新郎新婦さんから直接依頼をされることが多くなってくるでしょう。
すると、そこの式場提携している企業に登録・アルバイトをしなくても、5万〜10万で同じ撮影を行なったとしても収入も何倍になります。
その結果、アルバイトに来ていたカメラマンが辞め、フリーカメラマンとして独立していく。
独立されると人手不足で、また未経験者や新人カメラマンを雇わなければならない。
式場にとって商品力が弱くなると魅力を感じてもらえなくなる。
技術の高いカメラマン・式場価格より安いカメラマンを選ぶ新郎新婦が増えることによって、持ち込みカメラマンが増える。
持ち込みされると売上や結婚式の進行にも影響してくるリスクも抱えなければならない。
その改善策として持ち込みカメラマンを禁止する。
写真にこだわりたい新郎新婦にとって不満に思うことが増えてくる。
という、悪循環に突入してしまっていることもあります。
写真の好みとは「価値観の違い」
実際のところ、結婚式当日に初めてカメラマンと会うことになるケースは珍しくありません。
見た目ではアルバイトだろうが、熟練者であろうが、さらには写真を見ても違いがわからない人もいます。
それは、写真に対しての価値をどこまで感じるかにとって変わってきます。
「とりあえず、背景がボケていたらプロっぽいね。」と、思う方もいれば、
「見比べても何が上手なのかさっぱり分からない」と、思われる方もいると思います。
カメラマンの立場、考え方、どう撮影すべきか、などのカメラマン的な考え方で「いい写真を残す」ことと、
新郎新婦が「いい写真」と感じる部分は人によって違います。
自分の好みで選ぶ時代へ
どんな結婚式の写真を残したいかによって選択肢が分かれてきます。
式場によっては日常的に日雇いカメラマンが婚礼撮影を行なっていることは珍しくありません。
もちろん、そうでない仕組みの式場もたくさんありますし、複数のフォトスタジオと提携している式場もあります。
その仕組みや写真の価格や価値に疑問に感じる新郎新婦さんもいれば、満足される新郎新婦さんもいらっしゃいます。
どこに価値を感じるかによって、色んな選択をすることができると思いますが、ただ一つ、カメラマンとしてお伝えしておきたいことがあります。
それは、「写真の価値は結婚式が終わってからずっと先に感じることもある」ということも知ってほしいと思います。
将来、子どもと一緒に見返したり、夫婦で話したり、写真があるだけで家族の会話や当時の思い出や幸せな1日を振り返ることができます。
でも、その写真は「見たい」と思えるものでなければ「見返す」という行動にすらならない場合もあります。
ぜひ、素敵な結婚式の時間を切り取った写真を残してほしいと思います。
最後までご覧頂きありがとうございました☆